シンガポールに本格的に拠点を移してから1年が経ちました。過去、ビジネス経験でいうと、アメリカや欧州、中国、インドを始めとするアジアの国々、そしてアフリカと17カ国の国々で様々なビジネスを手がけてきました。
時にはコンサルタントとして、時には事業開発責任者として、そして、いま経営者として・・・
この10年間で言うと、おそらく海外にいた時間は3年くらいになるでしょうか。ようやく、「地球」視点で世の中を見る目が養われて来たのではないかと思い始めています。

日本、東京へは月に1度のペースで行きます。多い月だと2回、3回行くときもあります。最近はいつも行く度に、東京で働いている時には気づかなかった「窮屈感」を感じずにはいられません。

どういうところから窮屈感を感じるのか・・・
例えば、社会人のほとんど全てがビシっとスーツを着ている。
満員電車を黙々と乗り続ける。
狭い地下道、ホームの階段を、肘をつつき合いながらも、秩序良く進んで行く。
メールを送れば、冒頭「・・・いつもお世話になっております・・・」云々かんぬん、なかなか主要なメッセージが始まらない。

そう、東京で働いていた時には気づかなかった当たり前の出来事が、実はとてつもなく「窮屈感」を醸し出しているのです。
こんな些細なことが、どうしようもない「窮屈感」を感じさせるのです。

そしてテレビをつければ、危機だ!景気対策だ!デフレだインフレだ!もう20年も同じ議論に、同じようなテレビ番組。
新聞・雑誌をめくれば、「・・・すべきだ」、「・・・が求められる」とどこにも自分の話が載っていない。
こういう変わらない状況もまた、さらなる「窮屈感」を産み出しているのだと気づかされました。

ニッポンは日本語でこの20年議論を続けて来ました。窮屈な島国をどうしていくか。真剣に考えた人も多数いたと思ってます。でも、変わらない。なぜなんでしょうか?変わろうとしないから? いや、これほど議論している国はそんなに多くないと思います。これほど課題を抱えている国も多くない。課題に対して、これほど立ち向かっている(口だけの人もいますが)人が多い国もそんなにないと思います。

変わらないんじゃない。実は、変わるスピードが、相対的に遅くなっている。そういう時代なんじゃないかと思ってます。
この20年で何が変わったか。
一言で表せ、と言われたら私はこの言葉を選びます。

「情報共有のスピードが変わった」と

日本国内の日本語による情報共有のスピードはこの20年で着実に早くなってきています。日本は実は変わっているんです。日本は実は早くなっているんです。
しかしながら、世界はさらなる早さで変わっているのです。

世界では、「英語による情報共有のスピードが変わった」のです。
日本では、「日本による情報共有のスピードが変わった」のです。

この違いは、戦慄を覚える違いです。

文字が伝来しなかったジャングルの奥地の少数民族と、港町に出て文明に触れた民族との違いほどの違いです。もちろん、文化を守り抜くという道を選び、ジャングルで生き抜く生き方も素晴らしい。しかし、日本は世界経済で生き抜く道を歩んでいるのです。

この違いは、戦慄を覚える違いなんです。

控えめに言いましょう。英語人口は世界で10億人います。この10億人がこの20年間何をしてきたか・・・「インターネット上に広がる英語による最新の情報の共有スピードをひたすらに高速化して来たのです」
日本では、1億人の日本人が、日本語による情報の共有を高速化してきたのです。人の数が10倍違うということは、情報共有され、それが広まり、知識・知恵へと変革していくスピードは、100倍から1000倍は違って来るのではないでしょうか?

それが20年も続いているのです。
この違いは、戦慄を覚える違いなんです。
控えめに言って、とてつもなく戦慄を覚える違いなのです。

日本はこの20年、変わって来ています。ただ、残念ながらそのスピードが世界で見た場合、あまりにも遅い。
よって変わっていないと思えてしまうのです。

一方、この事実を皆さんは知っているでしょうか?
例えば東京は、正確に言うなら東京圏は「世界最大の経済都市」です。ニューヨークよりも、ロンドンよりも、上海よりも遥かに大きい。そしてこれは2025年でもまだ世界最大規模を誇ります(調査レポートによる)。長年東京よりも不景気の続く大阪圏はニューヨーク圏に次ぐ世界第3位の経済規模なのです。

世界の企業から見た場合、東京や大阪への市場参入というのは、ある種夢なのです。誰もが羨む巨大都市圏なのです。
私はここ5年はアジアでの仕事が多い。アジアで展開している起業家は誰もが私に言って来ます。
「日本に参入したい」

3年ほど前から、日本の現状を称して「ガラパゴス」と呼ぶムーブメントがありました。独自の生態系で発展してしまい、その独自市場で広まったサービスは余りにも独特過ぎて、他の市場では受け入れられない、と。

アジアの国々からすれば、日本語と日本人のマネジメント、さらには各種規制という高い壁に阻まれて参入できない難攻不落な都市コンスタンティノープル(330年から1453年まで難攻不落を誇ったトルコの都市、イスタンブールの旧名。日本で言うならば、難攻不落な小田原城)のような市場なのです。

情報共有が今ほどのスピードではなかった時、大事なことは何だったのか?

何でしょうか?

ベストプラクティスの探索と模倣です。

簡単に言えば、「答えを探すこと」です。日本の受験戦争が最も得意とすることです。ケーススタディです。単なる分析です。それが重要だった。
しかしながら、今はそうではない。そのやり方では、とてつもなく遅い。ボールがキャッチャーミットに届いた後にバットをスイングするようなものです。

答えなどどうでもいいんです。ケーススタディなどどうでもいいんです。ベストプラクティスなどどうでもいいんです。そんなものはいとも容易く見つかります。
それをやり始めたところで、もう世の中の最先端には、そこから3回も4回も改善、さらには革新的に変革した新たな方法で物事が動き始めているのです。

そこに追いつくためにはどうすれば良いか・・・?

残念ながら、「答えはありません」

では、今「答えを追い求める旅」を終えて、その次の変革者はどういう道を歩んでいるのでしょうか?

一言で表すことができます。

「アジェンダなく、人に会いに行ってます」

いま、世界の最先端を走るイノベーターは、アジェンダなく人に会いに行ってます。毎日毎日、アジェンダなく人に会いに行ってます。

新入社員研修であるでしょう。アジェンダのない会議はだめだとか。アジェンダをうまく組めるかどうかが仕事のプロだだとか。
アジェンダがある会議がいらないとは思ってません。そういう会議はもはやこの時代、わざわざ会う必要はない。電子メールでも実は遅い。アジェンダをかしこまって箇条書きで並べている間に、上から1つ1つ、skypeでも、chatwork(Diixiでは標準で使っているコミュニケーションツール)でも、なんでも都度スピーディーにチャットで課題をクリアにして行けば良いのです。
Diixiではもはや社内コミュニケーションに、何十年前かに発明された電子メールという古いツールは使っていません。

アジェンダがある会議の日程調整をしていること自体が、とてつもなく遅い経営体質であることを痛感しなければなりません。

このポイント、少し小馬鹿にした例を挙げてみましょう。アジェンダが1、2、3と3つあるとします。関連メンバーはA、B、C、D、E、F、Gの7人。1つのチームの大きさです。1に関係するのはA、B、C、と少しF。2に関係するのはC、D、Gと少しA。3に関係するのは・・・
こういう状況は一般的でしょう。
この3つの議論をするために、何を始めるか・・・
電子メールによる会議時間の調整です。中には直ぐ返す人もいれば、2日後に返す人もいるでしょう。会議時間を確定させることで3日もかかったりすることもあるでしょう。そしていざようやく会議が始まったところで、3つ全てを「自分事」のタスクと強く思っている人はいない場合もおおい。電子メールを使ったとてつもなく非効率なコミュニケーションの一例です。

いま、LINEが日本を中心としてアジアなど世界の国々で急成長しています。スピーディーにどんどんと会話が進んで行く。あのイメージで、例えば社内100人が、ポンポンポンと物事を進めて行く様を思い描いてみてください。アジェンダを組む間もなく、たいていの事はチャット上で片がついていく。アジェンダなど役員会議でのみ必要なくらいでしょう。

少し話がそれました。
世界の最先端のイノベーターは、アジェンダなく世界中の人に会いに行っているのです。
アジェンダのない会議、不測の事態が起きる会議、そうした空間を懸命に創り出そうとしているのです。
極端な言い方をしましょう。

アジェンダと議事録と司会進行がいる素晴らしいフォーマットの会議の連続と、
誰が何をするのか全く決まっていない、アジェンダもない、不測の事態ばかりが起こる会議の連続・・・

今、イノベーションも、イノベーターも、後者から産まれているのです。

 

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この写真は、Unreasonable @ Seaというプロジェクトのシンガポールでの様子です。2013年2月20日に開催されました。

 

 

このプロジェクトはこういう内容です。
1隻の豪華客船
11日の起業家
650人の大学生
数人の大学教授と投資家
700人弱が、アメリカから出発し、100日間の世界旅行に出ているのです。
 

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世界80カ国の人が、このシンガポールセッションを見に来ていました。

 

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このプロジェクトのFounderでもあるDanielは、自分よりも、Weの方がイノベーションに優れていると訴えます。

もう一度、このプロジェクトはこういう内容です。
1隻の豪華客船
11日の起業家
650人の大学生
数人の大学教授と投資家
700人弱が、アメリカから出発し、100日間の世界旅行に出ているのです。

何のために?

イノベーターを産み出すために。

違う言い方をしましょうか?
大の大人が100日も、普段のビジネスの現場を離れて豪華客船で世界旅行しながら、イノベーションを議論しているんです。

あなたの上司に掛け合ってみてください。
イノベーションを産み出すために、100日豪華客船で世界旅行して来て良いかと。予算は数百万円です。

あなたの親に掛け合ってください。
イノベーターとなるために、100日豪華客船で世界旅行して来て良いかと。予算は数百万円です。

そうしたら言うでしょう。
100日間の工程表を出しなさい。
100日間の会議のアジェンダを出しなさい。
100日間で何が得られるかを書きなさい。

ブレーンストーミング。ブレスト。そこで革新的なアイデアが産まれた経験がある人はいますか?
徹夜で会社にこもって、革新的なアイデアが産まれた経験がある人はいますか?

酒を呑みながら、将来の夢で興奮してまくしたてた経験がある人はいませんか?
泳いでいる時、走っている時、山登り、犬の散歩、小説を読んでいる時、映画を見ている時、これは?!と思う思いつきをした経験がある人はいませんか?

街中で偶然出会った昔の友人との会話、美味しかったレストランの店主との会話、突然会う事になった取引先の人とのコーヒーチャット。そんな時こそ、イノベーティブなアイデアに結びついた経験がある人はいませんか?

このUnreasonable @ Sea。Unreasonableとは、理性を欠いたとか、理屈に合わないという意味です。「海のうえのどうしようもないこと」そんなプロジェクトです。

このプロジェクトは世界中で注目されています。
イノベーションが産み出す場所ということで。

このプロジェクトは世界中の人が羨望しています。
イノベーターになる機会を得る時間ということで。

Unreasonable @ Seaは、閉鎖された「船」という空間を活用して、非日常を創り出し、イノベーションを誘発させようとしている世界規模のプロジェクトです。残念なことに、この場にいた日本人は、私を含めて数人です。350人いる中で、数人のみが日本人でした・・・

アジェンダなく人に会いに行く。

それこそがイノベーションを産み出す近道なのです。
イノベーターに変わる近道なのです。

Diixiは、3月31日に「KUROHUNE=海外起業家、ピッチ(砲弾)をぶっ放す:通称KUROHUNEピッチ」を原宿にて開催します。
イベントの詳細は是非こちらをご覧ください。イベントの情報は随時今後もアップデートしていきます。

私がやりたいことはなにか・・・
Designing innovators。
時代が求める変革者を産み出し続けることです。
変革者=イノベーターになるには、人に会う必要があるのです。
なるべく、不測の事態で人に会う必要があるのです。
普段交わらない人と、突如議論をする必要があるのです。

KUROHUNEピッチは、日本で最もイノベーターが産まれる場所です。
世界中で戦っている起業家、海外展開を加速している起業家、これからまさに海外展開をしようとしている起業家。
そうした起業家が20人程度、1人200秒づつ魂を込めたピッチ(砲弾)を放ちます。
彼らの誰とでもネットワーキングできるセッションも設けています。
彼らと会場を満たす(300人が目標)オーディエンスとのインタラクティブな全体パネルディスカッションを用意しています。

そして、まだ詳しくは言いません。通常のイベントにはない多くの仕掛けを用意しています。
その内容はお話しません。

アジェンダのない会議がイノベーターを産み出すのだから。

KUROHUNEピッチ。こちらのイベントページを是非ご覧ください。
あなたの登壇・参加をお待ちしております。

アジェンダがない。だからこそ来てください。
何が得られるか分からない。だからこそ来てください。
自分がやりたい事も不明確だ。だからこそ来てください。

石を投げなければ、水面は揺らぎません。
一歩踏み出さなければ、意志は変わりません。

お待ちしております。

こちら、是非ご参照・ご参加下さい。
KUROHUNE=海外起業家、ピッチ(砲弾)をぶっ放す:通称KUROHUNEピッチ